こんにちは!へいちゃん(@kohei55net)です!
1993年のJリーグ開幕に伴い、新たな時代に向けて選手や指導者の育成のために、JFA(日本サッカー協会)ではサッカー指導者のライセンス制度を創設しました。
今回は、そのライセンス制度の中で、日本サッカー最高峰の指導者ライセンスである「公認S級コーチジェネラル」について書きました。
日本サッカーの最高峰のライセンスである「公認S級コーチジェネラル」についてどんな内容なのか、記事を読み終わった時にざっくりと概要が理解できるような記事にしてみました。
まずはS級ライセンスに入る前に、簡単に全体のライセンスの体系がどうなっているのかを、下の図で確認してみてください。
指導者養成のライセンス制度概要
まずは、下の表をご覧ください。

Jリーグの監督に必要なS級コーチをトップに、A級コーチジェネラル、12歳までと15歳までの育成年代のトップライセンスであるA級U-12とA級U-15、そして、その下にB級、C級、D級、最後に公認キッズリーダーと全部で8種類のライセンスがあります。(※GKやフットサルは除く)
公認S級コーチジェネラル
Jリーグの監督に必要なライセンスであるS級コーチライセンスとは、どのようなものなのでしょうか。
公認S級コーチライセンスと受講資格
日本サッカー最高峰のライセンス。
Jリーグ監督をするためには、このS級ライセンスが義務付けられています。
実は【2017年まで】と【2018年以降】で受講資格に変更がありました。
2017年まで
次の事項のいずれかを満たす受講希望者の中からJFA技術委員会において選考し、決定する。
(1)A級コーチジェネラルライセンス取得者で、A級コーチジェネラル養成講習会受講時に成績優秀であり、かつ指導実績又は競技実績をJFA技術委員会が認めた者。
(2)JFA技術委員会が特に認めた者(海外におけるライセンス取得者等)
一応、上記の(1)か(2)を満たした中から、選ばれた人が受講できていました。
2018年以降
2018年からは以下のように、受講資格がより「明確化」され、より「厳格」になった印象を感じます。
1年以上の指導経験があり、次の事項のいずれかを満たす指導者で、「2018年度S級コーチ養成講習会トライアル」に参加していること。
(1) 有効なJFA A級コーチジェネラルライセンス保有者
(2) 有効なUEFA-A、AFC-Aに相当するライセンス保有者
(3) 2017年度A級コーチジェネラル養成講習会受講者のうち、総合成績がSランク且つ国際Aマッチ20試合以上もしくはプロリーグ公式戦300試合以上の出場経験を有する者。
この「2018年度S級コーチ養成講習会トライアル」。
その目的とは、実施要項に以下のように記載されています。
S級コーチ養成講習会トライアル
2018 年度S 級コーチ養成講習会開催にあたり、受講者を選考するための個人面談及び指導実践によるトライアルを実施し、質の高い講習会を開催することを目的とする。
つまり、S級コーチ養成講習会に参加するためにも、事前試験的な意味合いのある「トライアル制度」が導入されました。
具体的な中身としては、①個人面談と②指導実績からなっており、上の(1) 有効なJFA A級コーチジェネラルライセンス保有者、(2) 有効なUEFA-A、AFC-Aに相当するライセンス保有者の方は、両方に参加が義務付けられています。
そして、JFAの技術委員会で審査・選考が行われ、ようやくそこで「合格者」のみが、本番のS級コーチ養成講習会に参加することを許されるのです。
つまり、日本サッカーの先頭を走っている限られた一部の人だけが受講、取得ができるライセンスと言えます。
公認S級コーチライセンスの目的は?
JFA(日本サッカー協会)によると、プロ選手の指導ができる人材を養成すると同時に、日本の指導者のリーダーとなる人材を育成することを目的に本講習会を開設する。
ここ数年で取得した人はどんな人がいるのか?
最近だと、以下の方が取得されています。(一部です)
・コンサドーレ札幌コーチの四方田修平(2014年)
・鹿島監督の大岩剛(2014年)
・ジェフ時代のオシムの通訳を務めた間瀬秀一(2015年)
・G大阪監督の宮本恒靖(2015年)
・ヴィッセル神戸監督の吉田孝行(2015年)
・元日本代表の鈴木隆行(2016年)
最近、解説でお馴染みの戸田さんもS級認定がでました!
長い事かかりましたが、ようやく認定されました。
ご報告までに。 https://t.co/qwbiCmqeF6— 戸田 和幸 (@kazuyuki_toda) 2018年12月13日
取得するまでの時間と費用はどれくらい?
前期、中期、後期と3期にわかれています。
2018年スケジュール概要
前期
・国内短期講習会
2018年5月12日(土)~5月17日(木)
・国内集中講習会
① 2018年5月21日(月)~5月24日(木)
② 2018年5月28日(月)~5月31日(木)
③ 2018年6月4日(月)~6月7日(木)
④ 2018年6月11日(月)~6月14日(木)
⑤ 2018年6月18日(月)~6月21日(木)
中期
・国内短期講習会
2018年9月3日(月)~9月6日(木)
・国内集中講習会
⑥ 2018年9月10日(月)~9月13日(木)
⑦ 2018年9月18日(火)~9月20日(木)
⑧ 2018年9月25日(火)~9月27日(木)
⑨ 2018年10月1日(月)~10月4日(木)
⑩ 2018年10月9日(火)~10月11日(木)
⑪ 2018年10月15日(月)~10月18日(木)
後期
・国内集中講習会
⑫ 2018年12月3日(月)~12月6日(木)
・指導実践試験
2018年12月10日(月)~12月13日(木)
インターンシップ(3週間)
前期終了後~2019年8月31日まで
原則、上記期間内に海外プロクラブ(2週間以上)、Jクラブ(1週間以上)の実地研修を行い、レポートを提出する。
最終的な認定方法としては、全カリキュラムを修了し、筆記試験・指導実践・口頭試験・研修レポートにおいてすべて合格した後、日本サッカー協会技術委員会において審査後ライセンスを認定する、とされています。
いや~これほぼ平日開催だから、普通の人が受講するだけでもいかに困難なのか、よくわかりますね。
まさに選ばれし者。
本当にフットボールコーチの最高峰にふさわしいだけあります。
費用
32.4万円(税込)。会場までの交通費や集中講習会の宿泊費、インターンシップに係る費用は、これには含まれていません。
交通費や宿泊費など、その他の費用も含めると、地方から受講する人は、100万円は軽く超えてくると思われます。。。
S級までの道のりは?
基本的には、12歳の子どもたちの指導ができるC級もしくはD級のいずれかからスタートをすることになります。
C級 → B級 → A級ジェネラル → S級ジェネラルとステップアップしていきます。
基本的に、プロの選手もC級からスタートします。
A級とS級を取得する際は、その下のカテゴリのB級とA級を取得してそれぞれ1年間以上の指導実績が必要になります
つまり、B級を取得した次の年にすぐにA級を取得することは出来ない、ということです。
最短でもC級からスタートして、S級にたどり着くまでにおそらく最低でも4~6年はかかるでしょう。
もちろん、B級以上は各都道府県のサッカー協会やJリーグ、JFAなどの推薦が必要になってきますので、ストレートに受講ができるかというと、一概にはそうとは言い切れないところもあると思います。
公認S級コーチ リフレッシュ研修会
公認S級ライセンスも車の免許証と同じで、更新制を採用しています。
2年間のうちにリフレッシュ研修会を通じて、「40」ポイント取得してくださいね、となっています。
これのポイントを取得できないと、残念ながら失効になってしまいます。
JFA(日本サッカー協会)は、取得して終わりではなく、世界のサッカーに追いつけるように、「リフレッシュ研修会」を通じて、指導に関する新しい知識や情報を得て、指導現場で活かしてほしい、という願いをこめて定期的にリフレッシュ研修会を開催しています。
このコースは、最新の世界サッカーの動向や指導法などに関する内容をテーマに、JFA技術委員・ナショナルコーチングスタッフ、欧州で活躍する指導者などが講師を担当します。受講者には20ポイントが加算されます。(引用:JFA)
S級ライセンスのない外国人監督は、Jリーグの監督になれるのか?
外国人がJリーグの監督になる場合、S級ライセンスもしくは、S級ライセンスと互換性のあるライセンスを取得する必要があります。
同等のライセンスとしては例を上げると、UEFA(欧州サッカー連盟)の最上位ライセンスである「UEFA PRO」と互換性を持っています。
以前、名古屋グランパスの監督に就任したストイコビッチは、UEFA PROの1つ下のUEFA Aまでしか取得しておらず、一時監督になれないと騒動がありましたが、無事にUEFA PROを取得して、名古屋グランパスの監督になりました。
あのマドリーをCL3連覇に導いたジダン氏もUEFA PROを取得しています。
S級保持者でも指導できないカテゴリがある!?
国内最高峰のライセンスである公認S級コーチライセンスと言えど、指導ができないカテゴリがあるのは、ご存知でしょうか?
実は、JFA・都道府県サッカー協会・JクラブにおけるU-12年代の指導のリーダー的立場にある者は、S級コーチライセンスを持っているだけでは、指導ができません。
Jリーグの下部組織やナショナルトレセンといって、各地域の選抜メンバーが一同に会してトレーニングを行う機会があります。
そのようなトップレベルのU-12の指導に当たる場合には、この公認A級コーチU-12のライセンスが必要になってきます。
S級でもできそうじゃないのか?
そう思うかもしれませんが、背景には次のようなことがあるんですね。
世界トップ10入りを目指すJFA(日本サッカー協会)にとってU-12、つまり12歳以下の子どもたちの育成を「最重要課題」の1つと認識しています。
そのためには、この年代の指導者のレベルアップおよび地位向上を図る必要があり、この年代の指導をより専門的に深めていくために、S級コーチのライセンス保持者と言えど、教えることが出来ないようになっています。
当然ながら、大人のプロの選手に向けて伝える内容や言葉と、これから成長していく無限の可能性のある子どもたちに向けて伝えていくものは、違ってきますよね?
それだけ、相手が子どもたちという意味で、別の専門性が問われてくるということではないか、と思います。
ちなみに、S級ライセンス保持者向けには、特別に公認A級コーチU-12のライセンスが取得できるコースが別途設けられています。
プロの選手が経験なく、S級ライセンスを取得してJリーグ監督になった人は?
ベトナム代表監督やベトナムのホーチミン・シティで監督を務めたこともある、三浦俊也さんという方がいます。
この方は、元々教員をされていたのですが、指導者への夢を諦めず、28歳の時ドイツへ渡ります。
5年半ドイツでサッカー理論を学び、ドイツのライセンスを取得した後、帰国。
日本で、S級ライセンスを1996年取得。
その後、当時JFLのブランメル仙台(ベガルタ仙台の前身)や水戸ホーリーホックで指揮をとった後、大宮アルディージャ、コンサドーレ札幌、ヴィッセル神戸、ヴァンフォーレ甲府など多くのクラブを指揮しました。
基本的な戦術としては、堅守速攻型。
2007年には、コンサドーレ札幌をJ1へ昇格させています。
2014年からベトナムのA代表とU-23を兼任。2016年の1月に解任されました。
海外では、あの伝説のACミランの黄金時代を築いたアリーゴ・サッキ、ポルトやインテルでCL制覇を成し遂げたモウリーニョや、元銀行員の肩書をもつチェルシーの監督であるサッリなど意外と多い。
日本にももっと選手としてのキャリアがない監督やコーチが増えてくると面白くなるかもしれませんね。
公認S級コーチジェネラルのまとめ
S級コーチジェネラルですが、費用もそれなりにかかりますが、それよりも時間的な拘束を伴うものなので、時間的に余裕のある人や、各所属のチームの協力や理解が間違いなく必要かな、と思います。
Jリーグの監督に必要なライセンスということで、いずれJリーグのクラブで監督を目指す人は取得を目指すものだと思います。
ただ、高校や大学、Jリーグの各クラブの下部組織など地域の指導者のリーダーになられている方やこれからそうなっていく方も、最終的にはS級を目指している方も多くいらっしゃいます。
S級ライセンスが最高峰のライセンスとはいえ、取得したら終わりというわけではなく、世界の成長していくスピードに追いついていくためには、日々の知識や情報のアップデートも必要になってきます。
常に、S級ライセンス保持者であっても、当然ながら成長していくことを求められているということですね。
最後に、2000年の欧州サッカー選手権でフランス代表を優勝に導いたロジェ・ルメールさんの言葉を紹介したいと思います。
学ぶことをやめたら、教えることをやめなければならない
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個人的なことですが、以前取得した「公認D級コーチライセンス」について書いた記事です。
その養成講習会の内容や感想などをまとめて書いてみましたので、ご興味ある方がいらっしゃいましたら、是非ご覧ください。
